夏空への賛歌

夏の朝

 

朝早く目が覚める
五時

玄関を開けて外を眺める 今朝はとりわけ朝焼けが美しい
南西の澄んだ空に小さな雲たちが浮遊している その中に混じって幾すじかの紅い光の存在を見つける
真夏の太陽が織りなす自然美

蝉たちが泣き始める前の限られた時間 密やかに雲と鳥たちを交えながら談笑している
西の空には月もいる
早朝の太陽と月
大空の中で屈託のない笑顔を浮かべながら 仲睦まじく話してる
今ここに互いが在ることがうれしくて うれしくて

農夫たちは畑で草むしり
雑草の勢いは留まることを知らない

夏の第二章 ここに始まる

雨の季節に詩を

だから 私は

 

大地は潤っている

紫陽花が見事だ

蟻の行列はどこまで続いているのだろうか

ねえ お隣さんが来られているよ

 

あなたとの時間は 果てしなく広がるけれど ほんの一瞬なのさ

 

猫があくびをしたね

これから どこに出かけていくのだろうね

猫のあしあとを いつの間にか追っている

あなたも 私も

こんな時間が愛おしくて ことばを発することをつい 忘れてしまう

あなたは余韻を残して また いなくなる

 

ひとりになってしばらくすると ことばと戯れたくなる

あなたと見たもの 感じたものを もう一度思い出して

文字にする

今度は ちゃんと言葉にする

だから 私は

あなたに 手紙を書きたくなる

詩:睦月

季節のブーケ

これ ツキノハナ そしてこれはイヌノシッポ
ママにおみやげで はなたばにしたよ はいどうぞ

週末の朝 娘から届く季節のブーケ

家の周りで見つけた草花たちが小さな手の中にすっぽりと収まっている
今朝は紫色でまとめられた花束

よく見るとブーケの下には水で湿らせたハンカチが巻かれている
草花たちを新鮮に保つ工夫のようだ

受け取る側も真摯に対応しようと私は水仕事の手を休める

するといつの間にか時の流れは変わり
朝の光を意識できるようになっていた

鳥たちは近くにいるようだ

娘は自分の摘んできた草花たちが湯呑みやコップに活けられていくのをひととおり確認する
そうするやいなや
もうすこし つんでくるね と言いながら再び朝日のもとへ駈け出して行った

ことばで想いを

おはようございます。今日は久しぶりに晴れましたね。
娘を保育園に送ったあと、仁比山神社に寄ってきたところです。境内のいたるところに石蕗(ツワブキ)が咲いていました。
雨降りの日が続くと楽しみの水汲みにはなりませんが、お天気の良い日は水を汲むついでに森林浴ができ気分爽快になります。雨で潤った植物たち、とりわけ今朝は水汲み場のところのシダ植物が印象的でした。嵐や雨が過ぎて行った後の静けさ、このほんの一瞬の空気を味わうことが自分自身にとって何にも代えがたい活力となるのです。本当にありがたいことだなとしみじみと感じています。

さて、昨夜はちょっと特別な食事の時間となりました。
毎食のことなのですが、娘は好きなものだけを先に食べて煮物や野菜の和え物などの副菜をずるずると後回しにします。この後回しになった副菜や汁物を食べるのにとても時間がかかるのです。この時間がとてもやっかいなのです(笑)。
昨夜は時間にゆとりもあったのでいつもとは違う方法ですんなりと食事が終わるよう私なりに思いついたことがありました。
「詩を読んであげよう。」
なかなか良いアイディアだったと思います。
読み始めると娘の目が輝きだしました。そして、自然に箸を動かし、大豆の五目煮を口に運んでいるではありませんか。おやまあ。こちらも楽しくなり3編ほど得意げに朗読をしたのです。
ことばにちからがある。
声に出して読むと改めて良い詩集だなと私までうれしくなり目が輝きました。
昨夜の1冊は、こちらです。
『人はかつて樹だった』(みすず書房) 長田弘
おすすめです。

Emily Dickinson’s Film

19世紀のアメリカの詩人、Emily Dickinson を描いた映画が佐賀のシアター・シエマさんで上映されるそうです。(10月29日から)個人的にとても好きな詩人です。
Autumn にも選詩集と訳詩集をそれぞれ1冊ずつ置いています。
どちらもお貸しできますので、ご興味のある方がいらっしゃいましたらご連絡ください。

おじいさんのうた

食べんしゃい

おじいさんは今日も突然やってきた
いつもの足音
縁側のところで声がする

「かぼちゃ 太かつがある ちょっときんしゃい」

我が家の隣はおじいさんの車置き場
車の中にはおじいさんの畑で採れた野菜が数種類
“はじめまして”
えびすかぼちゃ なすび きゅうり

「こん かぼちゃは えらいうまか
肉と炊いたら ころっとうまか
天ぷらにしたってよかし
食べんしゃい」

そう言って私に持っていけと目で合図した

なすびはちょっと硬そうだけど 食べてみよう
そう思いながら私は野菜たちを運んで縁側に置いた
どさっ

もらったそのかぼちゃをじっと眺めていたらまたすぐにおじいさんはやって来た

「麦茶を一杯飲ませんかい」

湯呑のお茶は一気になくなった
そうしておじいさんは少し話したら さよならも言わずに帰って行った

おじいさんの家の玄関には黒猫が一匹
主人の帰りを待っていた

“食べんしゃい”

私の中でおじいさんのこのことばが繰り返し響いていた

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