睦月の詩

わたしたちのうち

おちこんだ おちこんだ
ママが おちこんだ

わたしのママはおちこむことがある

ママだけにみえるあながあって ママはひとりでそこに入っていく
わたしに 何も言わないで ひとりで すっと入っていく

わたしがママに話しかけても ママは そうだね としか言わない
そして 遠くの木を見ている

木の向こうには からからに乾いた草っぱらが広がっていて
すすきが右と左にゆっくりと揺れている

ママもすすきと同じ動きをして 少し体を揺らしている

深呼吸なのか ため息なのか わからないけれど
ママは 大きく息を吐く

ママが入りこんでいるあながわたしに見えるなら
わたしは ママをあなからひっぱって
助けてあげられるのに

でも わたしには ママがおちこんでいるあなが見えない

だから わたしは ママの横で
スケッチブックを開く

ママとわたしのうちを描く
台所と寝る部屋と ねこが昼寝をする部屋を描く
やかんを置いたストーブも描く

玄関のところにはお花が咲いていて ママの車が停まっている
山を描いて その上には鳥が飛んでいる
空にはおひさまがいて ママとわたしのうちを照らしている

ここが ママとわたしのおうち

ママは帰ってくる
きっと 笑って ここに帰ってくる

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