冬になりきれない木のうた

木のひとり言

公園を歩いていると これまで聞いたことのないような声が耳に入る
上品で澄んだ声 けれどもとても微かな ささやきに近いおしゃべり
立ち止まって目を閉じる 誰だろうか
風とおしゃべりをしているのかな
いや ちがう
さまざまな雑音をたぐり寄せ音を解析する

...~!::::!!......〇

「どうしましょう わたし
もうみんな すっかり はっぱをおとしているじゃないの
わたしだけ でおくれてしまったわ

ほかのらくようじゅさんたち すっかりはっぱをおとして
ふゆのよそおいになっているじゃないの
あらまあ いつのまに

わたし はっぱをおとすどころか
まだみどりのしゃつをきたままだわ どうしましょう
いまからでもだいじょうぶかしら じかんがたっぷりかかるわよ

みどりのしゃつからきいろのしゃつにきがえて
それからよ ふゆじたくにはいるのは
いいかしら

......いいわね
あたしこのじゅんばんでやらないと
あたたかいふゆをむかえられないのよ

なにごとも ふさわしい じゅんじょってものがあるでしょ
とつぜんさむくなってしまったのだからこういうときもあるのよ
だから もうちょっとまってて
いいかしら」

目を開きあたりを見回すと
ほんのり黄色く色づきはじめている木が目についた
銀杏の木だった

いいですよ
そうつぶやきながら わたしは公園を後にした

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