詩:神無月

首輪

 

隣の犬は 鎖を外して 逃げ出すことがあるようだ

思うがまま 行きたいところに走って行ってはひとときの 自由に酔いしれる

ずっと見たかった景色 どこか懐かしい匂いを 確認するために

だが 彼は 走っても走っても 首輪を外すことはできない

 

飼い犬に逃げられた家族は 愛犬の帰りを 待っている

そのうち 帰ってくるであろうと 煙草を吹かしながら

半日ほど経てば だいたい 帰ってくる

それを 家族は知っている

走っている間に 首輪は緩んで いつもの 穴よりも 一つ 手前の穴に金具は 通っている

緩むことはあっても 外れることは 決してない

 

隣の犬は もしかすると

自分の首輪がきつくなったら いや きついと感じるようになったら 逃げ出しているのかもしれない

主人には 申し訳ない気持ちからなのか それとも 単に言うのが恥ずかしいからなのか

首輪の穴をひとつ緩めてください

とは言えないのであろう

 

いつも近くに居すぎると 言えないことはたくさん あるようだ

犬の世界も 最近は複雑なようである

 

まあ だが 家族とは だいたい そんなものではなかろうか

 

 

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