詩:それぞれの一日

今朝はくもり

 

あきちゃんとけんかをした

今朝は早朝からの仕事でいつもより40分早く家を出た

保育園に向かう車の中で あきちゃんはいつものCDを聴きたいと言った
それはわらべ歌が15曲ほど入っているCDだ
けれども実際にかけてみるといつものように大きな声で歌うわけでもなく
下を向きながら「コレ チガウ」
と私に次の曲へと早送りをするように言うのだった
1曲目をやめて2曲目にうつるとまた「コレ チガウ」
この繰り返しだった

8曲目くらいまで早送りをしたあたりから私の忍耐と寛容さのスイッチが切れてしまった
「もう こんなの嫌 聴きたいのが無いならこのCD消す」
音楽はなくなり、保育園の駐車場に着くまで沈黙は続いた
CDを消してからもずっとあきちゃんはうつむいたままだった

私の焦りをそのままあきちゃんは吸収し それがさらに濃縮されて彼女はことばを失ってしまった

「あきちゃん てをつなごうよ」
しばらくして外の空気を吸ったおかげで私は少し気持ちが和らいだ

「ごめん まま あせってしまって さっきはこわかったね」
しばらくまた無言のまま 二人で手をつないで歩いた

「......あっこちゃん ままのこと だいすきやけん」
涙をこらえながら あきちゃんは力強く言った

私は思わず息をのんでしまった
「......あきちゃん ありがとう ままもすきやけん」
これ以上 私はことばにすることができなかった

私たちは保育園の門のところでさよならをした
「いってらっしゃい」

空を見上げてもお日様は出ていなかった

仕事をしながらも さっきの娘のことばがからだじゅうで何度も繰り返し響いていた

 

 

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