詩を:文月

ベルガモット礼賛

赤い大きな花
雨の中 緑の庭にひときわ目を惹くベルガモット

梅雨の間じゅう咲いていたこのベルガモットがとうとう枯れてしまった

けれども 今の私には“枯れる”という表現がしっくりと来なかった

素足のまま なりふり構わず 髪を振り乱して走り抜けた
雨の中でも 勢いは変わらず踊り続けた
雨音というリズムに合わせて

ひとときもじっとはして居られず からだじゅうに稲妻が鳴り響いた
頭の中は冴えわたり 閃光が皮膚に浸み込んでいった

夏の雨 そして、ひとときの夢であった

しばらく降り続いた雨は一気に上がり 土壌は乾いた
昨夜までの情熱も雨に混じって土の中に溶け込んだ

そして
私はようやく腑に落ちた

ベルガモットは満ち足りた表情で笑っているのだった
すっかり乾いて ちりちりになっていたけれど
彼女は美しかった

私が顔を近づけると 先端が薄紅色の花びらを落としながらまた笑った

雨と太陽 そして乾いた土の匂いがした

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