おじいさんのうた

食べんしゃい

おじいさんは今日も突然やってきた
いつもの足音
縁側のところで声がする

「かぼちゃ 太かつがある ちょっときんしゃい」

我が家の隣はおじいさんの車置き場
車の中にはおじいさんの畑で採れた野菜が数種類
“はじめまして”
えびすかぼちゃ なすび きゅうり

「こん かぼちゃは えらいうまか
肉と炊いたら ころっとうまか
天ぷらにしたってよかし
食べんしゃい」

そう言って私に持っていけと目で合図した

なすびはちょっと硬そうだけど 食べてみよう
そう思いながら私は野菜たちを運んで縁側に置いた
どさっ

もらったそのかぼちゃをじっと眺めていたらまたすぐにおじいさんはやって来た

「麦茶を一杯飲ませんかい」

湯呑のお茶は一気になくなった
そうしておじいさんは少し話したら さよならも言わずに帰って行った

おじいさんの家の玄関には黒猫が一匹
主人の帰りを待っていた

“食べんしゃい”

私の中でおじいさんのこのことばが繰り返し響いていた

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