赤を塗りかえる

怒りと憎悪に満ちた赤

この赤い衣をいつも身にまとって生きてきた

棘があることも気付かずに

ある時、同じように赤い衣を着ている異邦人と出逢った
その人は鞄の中にたくさんの赤い実を持ち歩いていた
周囲を見る様子もなく ただひたすらに真っ直ぐ速足で歩いていた

私はその赤い実が欲しくてたまらなくなった
いつの間にか走りながらその男を追いかけていた
赤い実がたくさん入ったその鞄を持った異邦人を

「私にも少しだけあなたの赤い実を分けてくれませんか」
私は息を切らしながらその男に言った

けれども、彼は何も答えてはくれなかった
人に分けるようなものではないと言わんばかりに私をじろりと見て再び速足で歩き始めた

「……どうか待ってください あなたのその赤い実がどうしても欲しいのです
煎じて飲めば私の着ている赤い衣は美しくなるはずです あなたの衣のように
私にはあなたの持っている赤い実が必要なのです
どうか 一粒だけ分けてくれませんか」

風が吹き 小さな青い箱が舞い降りてきた

するといつの間にか赤い衣の異邦人は消えていた

私は嬉しさと興奮のあまり 青い箱に入っていた赤い実を煎じずに食べてしまった

 

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